
スペクトルとは、各波長(ここでは256チャンネル分)の吸光度を連続したデータとして取り扱うことであり、波形の形状をグラフに示してあります。
カツオ魚肉から化学的に抽出精製した魚油を測定した結果をグラフ中の赤線で示してあります。2次微分スペクトルとは、オリジナルの測定データを一定のルールで変換して見やすくしたものです。下方向(マイナス方向)に下がるほど吸収が強く現れていると見てください。魚油のスペクトルでは926nmにおいて強い吸収があることがわかります。これは、油脂(植物脂など)の文献値とも一致しますので、魚油特有の吸収ではなく一般的な油の吸収と考えられます。
グラフ中に黒線で数尾のカツオ魚体の所定部位を測定した結果を挿入してあります。これらのカツオは脂肪含量の多寡が明らかになっており、多い、中程度、少ないで示してあります。カツオ魚体を測定したスペクトルにおいても、930nm付近では脂肪の多寡に応じてスペクトルが変化しています。魚の脂肪を近赤外測定法で測定する場合は、この脂肪吸収波長である928nm付近と化学分析値の関係がもっとも強い波長の吸収データと、さらにいくつかの補正する波長データを用いて検量線(脂肪含量を推定する計算式)を作成します。この検量線は、原則として魚種ごとに、測定環境ごとに作成する必要があります。
カツオ魚体を測定した黒線グラフでは970nm付近にも強い吸収があります。これは、水の吸収が現わしています。カツオ魚肉には70%ほどの水分が含まれていますので、これが顕著に現れます。精製魚油には水分が含まれていないで水の吸収は現れません。